第2章

モンスーンアジアの食文化

風土が育てた食の知恵

「食は文化を移す鏡である」と文化人類学者の石毛直道は述べました。私たちが日々口にするものには、その土地の気候と歴史、そして人々の価値観が映っています。

茶功アカデミーが舞台とするのはモンスーンアジア——西はインドから東は日本、北はチベット高原から南はインドネシアにいたる地域です。お茶の主要産地のほとんどがここにあります。この章では、農耕文化の変遷、国家や宗教が定めた食のルール、医食同源の思想、そして古代から受け継がれてきた調理技術という四つの層を順に重ねながら、この地域の食文化を読み解いていきます。

この章のレッスン(全5回)

  1. 01 はじめに 〜 モンスーンアジアの風土と食事 インドから日本、チベット高原からインドネシアまで。お茶の主要産地が集まるモンスーンアジアの風土と、そこで育った食文化の輪郭をつかみます。
  2. 02 農耕文化の変遷 旧石器時代の狩猟採集から新石器時代の栽培化へ。雑穀・根菜・照葉樹林という三つの農耕文化の類型を手がかりに、食文化の土台をたどります。
  3. 03 国家・宗教・商業と食文化 仏教の托鉢と三種の浄肉、ヒンドゥーのカーストごとの食規範、イスラームのハラール。食べ物そのものではなく、社会的規律やタブーが私たちの食と健康をどう規定してきたのかを見ます。
  4. 04 医食同源の思想 アーユルヴェーダのドーシャ、中医学の気・血・水と四気五味。体質と食材の性質を突き合わせて食事を組み立てる「医食同源」の考え方を、緑茶の処方例とともに解説します。
  5. 05 古代から続く調理法 収穫、下ごしらえ、保存、加熱、そして包む。料理を作る順番にそって、アク抜き・萎凋・乳酸発酵・石蒸しといったモンスーンアジアの調理技術をたどります。