第5章

手揉み茶のすべて

手が生む、本来のお茶

いま店頭に並ぶお茶のほとんどは、機械で作られています。しかし機械化以前、茶はすべて人の手で揉まれていました。養生の妙薬とされた千年前のお茶も、例外なく手揉み茶です。

この章では、手揉み製茶を五回に分けて扱います。ただし、手順のマニュアルはお渡ししません。茶葉の水分をどう抜くかという理論、揉みの動作の勘所、揃えるべき道具と環境——それらはあくまで部品です。どんな茶を作りたいのかというビジョンを持ち、自ら全体を設計すること。その能動性があってはじめて、手揉み製茶は生きた営みになります。

この章のレッスン(全5回)

  1. 01 手揉み茶が世界を変える 千年以上前、養生の妙薬とされた茶はすべて手揉み茶でした。手揉みを生活に取り戻すことが、なぜ本来のお茶と茶文化を呼び戻すことになるのかを語ります。
  2. 02 手揉み製茶の理論と目標 揉むことの究極の目標は、表面の水だけでなく葉の内部に残る「芯水」まで抜き切ること。圧力・熱・乾燥をどう時間配分するのか、その理論を扱います。
  3. 03 手揉み操作の要点 全体フローの設計から、「最低でも360度以上回転させる」といった動作の勘所まで。狙った作用を安定して働かせるための、揉みの条件設定を解説します。
  4. 04 手揉み製茶の環境設定 揉み台の高さと材質、「上乾き」を防ぐための室内条件、そして作り手自身の健康状態。手揉みに入る前に何を確認し、用意すべきかを具体的に挙げます。
  5. 05 手揉み茶の精神性 手順のマニュアルをあえて示さないのはなぜか。こんな茶を作りたいというビジョンを持ち、自ら全体を設計する「能動性」が、手揉み製茶を生きた営みにします。