茶功アカデミー

第5章 · 3 / 5

手揉み操作の要点

全体フローの設計から、「最低でも360度以上回転させる」といった動作の勘所まで。狙った作用を安定して働かせるための、揉みの条件設定を解説します。

手揉み製茶では、適切な動作を繰り返しの実践によって体得することが不可欠です。
手揉みの操作が不適切では、茶葉がうまく丸まっていかず、前章で学んだ理論も成り立ちません。

前章では圧力・熱・乾燥といった「作用」の時間的なかけ方を扱いましたが、本章では視点を変えて、揉みの動作そのものに焦点を当てていきます。

自身が作りたい茶葉のイメージに基づき、どのような揉み方が適しているのかを徹底的に検討しましょう。
そして、どのような揉み方から始めて、最後にどのように完成させるのかまで、全体を設計します。

たとえば、大きいサイズの葉が多いときは、そのままでは芯水が抜けにくいため、茶葉を強く揉み込む工程に注力するべきかもしれません。
ただしS字カーブの理論の通り、強く揉み込む工程の前後には、軽く揉む工程を配して作用の立ち上がりと収束をなだらかにする必要があります。

なお、全体フローの中で揉み方のバリエーションをいくつも設けても構いませんが、1つの揉み方の中では、基本的に1つの一貫した一連の動作を設定するようにしましょう。
同じ工程の中で動作をころころ変えると、茶葉への力のかかり方がばらつき、狙った作用が安定して働かなくなるためです。

どのような茶葉を作るかのデザインによって、採用するプロセスや操作は変わりますが、共通する原則があります。
その一つが、「最低でも360度以上回転させること」です。

中途半端な転がし方では、茶葉の形に偏りが生じ、ひいては味わいにムラが出ます。
これを実現するためには、片手だけでなく両手を用い、さらには腕全体をうまく使うことを考えるべきでしょう。

(ただし龍井茶のような扁平な茶葉を目指す場合はこの限りではありません。

うまく揉んでいるとき、茶葉の塊の内部では、茶葉同士が擦れ合って揉まれるという現象が起きています。
手が直接触れている葉を揉んでいるのではなく、塊全体を動かすことで、その内部で葉同士が互いに擦れ合い、回転している——これが最も理想的な状態です。

初心者が陥りがちなのが、手で触れている一枚一枚を意識的に揉もうとしてしまうことです。
これでは力が一部の葉に偏って集中し、かえって傷みやムラの原因になります。
そうではなく、全体を操作しながら、その中で茶葉がしっかりと擦れて回転しているイメージを持ちましょう。
前項で述べた360度以上の回転が不可欠となるのは、まさにこの内部での擦れを生み出すためです。

茶葉が実際に揉まれるのは、手の中においてのみです。
台の上ではありません。

ですから、台に広がった茶葉は掬うような手つきでいったん集めてから、手の中で揉むようにします。
強い圧力をかけたい場面でも、あくまで揉むのは手の中というイメージを保ち、真上から台に押さえつけないようにしましょう。
押さえつけてしまうと、茶葉は台と手のひらに挟まれて潰れるだけで、先ほど述べた「内部での擦れと回転」が生まれません。
結果として、葉が壊れるばかりで丸まっていかないのです。

各プロセスにおいては、あらかじめ取り決めた揉み方を徹底的に反復しましょう。
反復作業に没入する中で、手のひらで感じる茶葉の水分、匂い、色、光沢の変化を感じ取り、自身の働きかけを徐々に変化させていきます。

以上、手揉み操作の基本的な要点をお伝えしました。
全体設計と揉み方の条件設定から、各種動作の勘所までを紹介してきました。

もちろんこれらがすべてではありません。
ご自身で実践を重ねる中で、あなただけの操作を開発してみてください。