茶功アカデミー

第6章 · 3 / 4

マントラ実践

ゆっくり長く、そして静かに。吐く息と副交感神経、心拍変動(HRV)の関係をふまえた、心地よく効果的なマントラの唱え方の基本を学びます。

マントラの実践。

決められた音をただ繰り返すだけでは、マントラの力は充分に発揮されません。
ここでは、どうすればより心地よく、効果的にマントラを唱えられるのか、その基本を学んでいきます。

理想のマントラの条件。
まずは、ゆっくり長く、ということ。

  • マントラが心を落ち着ける理由のひとつは「ゆっくり長く吐く息」にあります。

  • 一般に、吸う息では交感神経が、吐く息では副交感神経が働きやすいとされます。

  • マントラ瞑想によって心拍変動(HRV)が上昇したという報告もあります。
    HRVは自律神経のバランスを表す指標で、とくに副交感神経の働きを反映します。
    HRVが上がることで、リラックスやストレス耐性、回復力が高まると考えられています。

そして、静かに。

  • 大きな声で唱える必要はありません。
    茶功アカデミーでは、むしろ小さな声をすすめています。

  • 大切なのは声の大きさよりも、声を生み出す呼吸や身体の自然な動きです。
    無理に力むのではなく、自然に声が出る感覚を大切にしましょう。

  • 静かなマントラは息が続きやすく、結果として長く響かせることができます。

また、腹から出すこと。

  • 発声の基盤となるのは、肺。
    空気を押し出すポンプの役割を担っています。
    そして腹部は、低音を支える大きな共鳴箱です。
    腸管の空洞は響きを良くし、声に厚みを与えます。

  • 呼吸は鼻からが基本ですが、口からゆっくり吐き出すことも、こもった緊張や滞りを外へ解放するイメージで、気の巡りを整えるのにつながります。

  • 湿度の高いモンスーンの環境では、この呼吸がとくに役立ちます。
    横隔膜を大きく動かす腹式呼吸は、不要なものを吐き出すのに効果的です。

姿勢も大事です。

顎を引く、目線を下げること。

  • 姿勢を正しく整えると、腹からの声が静かに、長く続きます。

  • 頭頂を上から軽く引っ張られるイメージで立て、顎を引き、目線をやや下げましょう。

腹・会陰を軽く引き締めること。

  • 下腹部がゆるまないように少しだけ腹筋に力を入れ、会陰を背中の方に引き上げるイメージを持ちます。

  • これらは、「気」が漏れ出てしまう部位を「ロック」する役割があり、気の流れを保つ工夫です。

四肢の組み方も影響します。

  • 手や足の向きによって呼吸や感覚は変わります。

  • 仏像や絵画の中にみられる各種の「ムドラー」「手印」のそれぞれの意義は、気の循環に対する作用を念頭に置いている傾向があります。

  • たとえば手のひらを胸の前に向けたときと、甲を前にしたときでは、体感が違うはずです。
    足も同じです。
    小さな違いが気の流れに影響します。

リラックスしましょう。

  • 姿勢を整えることと同じくらい大切なのは、心身をゆるめること。
    忙しい雰囲気の中や身体がこわばった状態では、声は自然な響きを失います。

  • 姿勢を保ちながら、筋肉や内臓はふんわりとゆるめる感覚を持ちましょう。

  • 迷ったら、とりあえず「OM」と唱えるだけでもよいのです。
    「OM」はリラックスへ導く代表的なマントラとして知られています。

自分にとっての音節の選び方

  • 理想のマントラは、自然に湧き上がった声をそのまま身体を通して響かせることです。

  • 驚いたとき思わず出る「アッ!
    」、疲れたときの「フー」。
    こうした声には本能的な調整の働きがあります。

  • 自分にとって心地よい音を見つけ、繰り返すうちに、それが自分だけのマントラに育っていきます。

環境面の条件設定について。

  • マントラを行う環境にも工夫が必要です。
    いい環境を見つけるか、作り出しましょう。

  • 湿り気のある空気は声を出しやすくします。
    たとえば浴室のような環境は練習に向いています。

  • また、身体が充分に温まっている時間帯を選ぶと声がよく出ます。
    多くの人にとっては夕方が適していますが、自分に合う時間帯を探してみてください。

身体に関わる条件設定について。

  • 胃腸の状態も響きに影響します。
    空腹の方が発声は軽くなりやすいでしょう。

  • また、腸内環境を整えることは全身の健康につながり、間接的に発声の心地よさにもつながります。

  • マグネシウムや亜鉛、ビタミンC、グルタミンなどは腸粘膜を守る栄養素として知られています。
    日頃から腸を大切にする生活習慣が、マントラの響きにも反映されます。

ここで、注意事項です。

  • マントラは安全性の高い方法ですが、無理に長時間続けると喉を痛めたり、体力を消耗することがあります。
    適度に行いましょう。

  • 冷たく乾燥した空気の場所では声帯に負担がかかりやすいため、避けるのが賢明です。

  • 運転中など注意力を要する場面でマントラを唱えるのは危険です。
    場所と場面を選んで行いましょう。

最後に。

マントラは身近で、誰もが使える心身の調整法です。
すぐに身につくものではありませんが、習慣として続けることで少しずつ身体に馴染んでいきます。

焦らず、ゆっくりと。
日々の生活の中で、自分のリズムに合わせて取り入れていきましょう。