茶功アカデミー

第3章 · 8 / 8

お茶と水

硬度、pH、沸騰、温度。カルシウムはカテキンと結びつき、マグネシウムは旨味に関わる。お茶の味を左右するもう一つの主役である水を扱います。

お茶の成分について学んできましたが、実は最も大切な要素がもう一つあります。
それが「水」です。

  • お茶の液体部分のほとんどは水。
    茶葉の旨味や香りを引き出すのは水の役目です。

  • つまり、水の質が、お茶の味の命運を左右すると言っても過言ではありません。
    水の性質で最も重要な指標が「硬度」です。
    これは水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まり、多いほど硬度が高くなります。

  • カルシウムは渋み成分のカテキンと結合する性質があります。
    これにより、硬水で淹れるとカテキンが変化し、渋みが抑えられてまろやかな味わいに。

  • 逆に軟水ではカテキンの変化が少なく、茶葉本来のシャープで繊細な風味を楽しめます。

  • マグネシウムは旨味やコクに深く関係します。
    にがりの主要成分でもあります。
    多いとしっかりとしたリッチな味わいに、少ないと淡泊でさっぱりした味わいになります。\

  • pHは酸性・アルカリ性の度合いを示します。
    pH7が中性で、それより大きいとアルカリ性、小さいと酸性です。

  • アルカリ性の水:茶葉の成分(特にカテキン)を溶け出しやすくするため、抽出が促進され、味が濃く感じられる傾向があります。
    多くの硬水は弱アルカリ性です。

  • 酸性の水:成分が抽出されにくく、味がぼやけて物足りなくなることがあります。
    市販の水でも弱酸性のものはありますが、沸騰させることで中性に近づくので、ご安心ください。\

  • 水道水:塩素(カルキ)が含まれており、これが味覚を鈍らせたり、お茶の香りを損なったりすることがあります。
    使う場合は、必ず沸騰させて塩素を飛ばしましょう。
    蓋を開けて5分ほど沸騰させるのが効果的です。

  • ミネラルウォーター:手軽で安定した品質が魅力です。
    ラベルの硬度とpHをチェックして、自分の好みや茶種に合わせて選びましょう。

  • 湧き水などの自然水:自己判断で採取した湧き水は、外見が澄んでいても、寄生虫や細菌、化学物質による健康リスクがあります。
    地方自治体などが飲用可能と公表している場合以外は使用を控え、使用する際は必ず沸騰させて殺菌しましょう。
    美味しいお茶を淹れるための、水の下準備の手順をご紹介します。

ステップ1:濾過

  • 水道水の塩素や不純物を取り除く第一歩です。

  • 家庭用浄水器やピッチャー型の浄水器が便利です。

  • フィルターは消耗品なので、規定通りに交換し、性能を維持しましょう。\

ステップ2:沸騰

  • 沸騰には3つの大きな目的があります。

まず、殺菌:安全性の確保。

また、塩素の除去:味と香りの大敵を除きます。

そして、水中の空気を追い出す:これにより水が茶葉の細部まで浸透しやすくなり、抽出効率が格段に上がります。

  • ちなみに、一度沸騰させてから適温に冷ました「白湯」が、同じ温度の水よりも抽出が良いと言われるのは、この「空気が抜けている」状態だからです。\

ステップ3:温度管理

  • 湯温は味のデザインをする最重要要素です。

  • 高温(90度以上):茶葉と湯の温度差が大きく、一気に成分が抽出されます。
    紅茶やほうじ茶など、香ばしさやコクを引き出すのに向いています。

  • 低温(70度以下):温度差が小さく、ゆっくりと優しく成分が抽出されます。
    煎茶や玉露の旨味や甘みを引き立て、渋みを抑えます。\

  • 水の世界は奥深いですが、基本は「硬度」「pH」「沸騰」「温度」の4つを押さえることです。

  • この知識をもとに、ご自身の好きな茶葉で、いろいろな水を試してみてください。
    あなただけの「最高の一杯」を探す旅は、きっとお茶をさらに楽しくしてくれるはずです。

  • 水と茶葉、そしてあなたの好みが調和した時、お茶は単なる飲み物ではなく、特別な体験へと昇華するでしょう。